新境地へと切り開くものは、地道な努力の積み重ねだった。
社員インタビュー
中学校を卒業後、就職するためにハローワークに足を運んだ山内駿輔。特に、とび職人を目指していたわけではない。そんな山内が日比建設グループの面接を受けたのは、「家から近かった」という驚きの理由だった。
1. とび職に魅入られ
軽い気持ちで入社したのだが、たちまちとび職に魅了される。業務を効率良くおこなうにはどうするべきか、自身で考えて実践していくことが楽しかった。そしてそれが上手くできた時の、何事にも代え難い達成感。だが一番は、現場で働く先輩たちの姿に強く惹かれたのである。
「高い場所で、規模の大きな作業を軽々としてみせるのが、他のどんな仕事よりも格好良くて(笑)」
この仕事は鉄骨建方や足場の組み立て、そして解体など、建設業において最も重要な部分を担うといっても過言ではない。時には危険と隣り合わせの中、果敢に作業をする勇姿は山内の心を掴んで離さなかった。
入社当初は18歳未満であったため、高所での作業はさせてもらえなかった。「いつか自分も!」との憧れを抱きつつ、日々の業務に励んでいたのである。
2. 自分の甘さを反省 〜きっかけは憧れの先輩
熱心に業務に取り組んでいた山内だが、仕事に向かう姿勢を改めて考え直すきっかけがあったという。それは、入社して2年目を迎えた頃だった。
朝の始業前や休憩時間などを、業務内容の確認をするでもなく漫然と過ごしており、とある先輩から「ゲームばっかりしているんじゃない!」と常々注意されていた。しかし、その日やるべき工程は、きちんと頭に入っているつもりだったため、ことさら反省もしなかった。だが、現場でその先輩と共に働くにつれ、気づきを得たのである。
「より早く安全に作業を終えるには、どの順で業務に取り組んだほうが良いのか、先輩はもっと細かく考えていたのです。わかったつもりでいた自分が恥ずかしくなりましたね」。
自身の甘さを痛感したと同時に、先輩のようになりたいと強く思う。以来、分からないことは積極的に質問し、確実にものにするべく努力を重ねていった。
そんな山内の態度が認められたのか、徐々に先輩から注意される回数は減っていったという。任されている嬉しさの反面、作業に責任を持たなければならないプレッシャーが、のしかかってきた。しかし何とか期待に応えるべく、一層業務に身が入ったのである。
「言われたことを、ただこなすだけではだめ。自ら進んで、仕事を理解していく姿勢が重要だとわかりました」。
指示を待つのでなく、己でより良い方法を考えて働きかけていく。これから自分の後に続く後輩たちにも、是非学んでいってもらいたいと願っている。
3. 地道な努力で見えた新しい景色
数年間、鉄骨の取り付け作業には直接携われずにいた。その下準備を主に任されていたのだが、その業務内容に最近変化が訪れた。
千葉県船橋市にある物流倉庫の現場でのことだった。なんと、念願の高所での鉄骨取り付け作業を任されるようになったのである。これまで下から見上げるばかりであったその現場に、いざ自分が立てた瞬間は感慨深かった。
「やはり最初は怖さが先立ったのですが、高い所からの景色は新鮮で、忘れられません。やっとここに来られたと、嬉しかったです」。
ずっと地道な準備作業をおこない、やっと20歳になり憧れの舞台に立てた喜びはひとしおだった。
一方で、実際に鉄骨取り付けをやってみて、これまで自身が取り組んできた下準備の重要性に改めて気づかされる。新しいステージに進んだことで、さらに初心に帰って気を引き締めたと同時に、過去の自身の仕事に誇りを感じた山内であった。
4. 責任ある立場に
鉄骨建方には多くの危険がつきまとう。それだけに大きな鉄骨を吊るすクレーンへの指示には、重大な責任が発生する。現在は、現場を取り締まる先輩に付いて作業をしているのだが、いずれは自身が周囲を動かせる立場になりたいと思っている。
「一緒に働く人たちの動きを全て把握していないと、指示を出す無線は持てません。現場でさらに経験を重ねて、その役目ができるように頑張りたいです」。
さらなるステップアップを目指し、向上心を絶やさない山内が、目標を達成する日も遠くはないだろう。