あなたは建設現場におけるスタンションの設置や利用方法について正しく理解できていますか?
僕は正直自信が無いです、、、
というのも、現役鳶職人の僕からみてもスタンションの利用ルール(法的なものに限らない独自ルール的なものも含め)って頻繁に変わる印象があります。
前の現場(2〜3年前)では普通にやっていたことが、今の現場ではパトロールで指摘を受けてしまうみたいなことがあったりして。
そこで、自分の知識を改めてアップデートさせるべくスタンションについて色々調べてみましたので、その情報を簡単にまとめて鳶職人同志の皆様に共有します。
ぜひご活用ください!
目次
1. (鳶職人目線で考える)スタンションとは何か?【その用途と重要性】
スタンションは工事現場に欠かすことのできない仮設機材で、その設置はほとんどの場面で我々鳶職人が行います。
1.1 スタンションの定義と用途
スタンションとは、工事現場で高所作業を行う際に、通路や作業の端部、開口部などの墜落の危険がある箇所に取り付ける仮設墜落防止機材です。
一般的には、ガードポスト(取付金具付束柱)とも呼ばれます。
スタンションは、設置箇所により第1種または第2種があり、それぞれ規定があります。
主な用途としては、
- 鉄骨建方時に梁の端部などにあらかじめスタンションを設置しておいて、梁の取り付けと同時に親綱を張って安全帯が使用できるようにする。
- 屋上防水工事などの際に、高所作業箇所(床スラブやバルコニーなど)の端部に取り付けてロープを張ったり、単管パイプを組んで墜落防止用の手すりなどを設置するための支柱として利用する。
- 足場の組立、解体の際に先行して親綱を設置するために利用する。
などになります。
スタンションは、工事期間中に高所作業や開口部付近など墜落の危険がある場所に取り付けることで、作業者の安全を確保する重要な役割を果たします。
また、スタンションは防護柵の取り付けの際など様々な場面で使用され、その形状は多岐にわたります。
親綱をかけるための支柱という要件を満たせば、材質形状を問わずほとんど全てが「スタンション」と呼ばれます。
1.2 スタンション 第1種と第2種の違い
スタンションには主に第1種と第2種の2つの種類があり、これらは設置場所や使用目的によって使い分けられます。
以下に、それぞれの特徴と違いについて詳しく解説します。
【第1種スタンション】
第1種スタンションは、主に足場の先行手すりとして使用されます。
これは、足場の上で作業を行う際に、作業者が墜落するのを防ぐためのものです。
第1種スタンションは、足場の縁や開口部などに設置され、親綱を通して手すりを作ります。
第1種スタンションの特徴としては、設置が容易で、取り外しも簡単に行えることが挙げられます。
また、高さや角度を調整することが可能なため、足場の形状や高さに応じて適切な位置に設置することができます。
【第2種スタンション】
一方、第2種スタンションは、主に開口部の防護として使用されます。
これは、建物の窓やドア、屋根の開口部など、墜落の危険がある場所に設置されます。
第2種スタンションも親綱を通して手すりを作りますが、その設置位置や角度は、開口部の形状や位置によって大きく異なります。
第2種スタンションの特徴としては、強度が高く、大きな荷重に耐えることができる点が挙げられます。
また、特殊な形状の開口部にも対応できるように、多様な形状やサイズのものが用意されています。
それぞれの特性を理解し、適切な場所に適切な種類のスタンションを設置することで、作業の安全性を確保することができます。
2. 利用シチュエーション別スタンションの設置と種類
建設現場で実際にスタンションが使われるシチュエーションごとに解説していきます。
2.1 鉄骨建て方時のスタンションの役割と設置方法
建設現場では、鉄骨の建て方時にスタンションの設置が重要な役割を果たします。
これは、梁の端部などにスタンションをあらかじめ設置しておくことで、梁の取り付けと同時に安全帯が使用できるようにするためです。
これにより作業者の安全性が確保され、作業効率も向上します。
では、具体的にどのようにスタンションを設置するのでしょうか。
以下に、ステップバイステップで説明します。
【ステップ1】スタンションの選定
まず最初に、使用するスタンションを選定します。
スタンションには様々な種類があり、使用する状況によって適したものを選ぶ必要があります。
【ステップ2】スタンションの設置位置の決定
次に、スタンションを設置する位置を決定します。
作業者が同時に1本の親綱に安全帯を掛けることにならないようにするなど、安全性と作業効率を考えた位置に設置することが重要になります。
【ステップ3】スタンションの設置
設置位置が決まったら、下記の点に注意してスタンションを設置します。
正しい方向、向きに取り付ける
ボルトなどの締め付けを確実に行う
親綱はしっかりと緊張し、ロープ端部は適切にまとめる
【ステップ4】安全帯の取り付け
最後に、安全帯をスタンション(及び親綱)に取り付けます。
これにより、作業者は安全に作業を行うことができます。
以上が、鉄骨建て方時にスタンションを設置する手順です。
これらの手順を遵守することで、作業者の安全性を確保しながら効率的に作業を進めることができます。
また、スタンションの設置には、一般社団法人仮設工業会の定める「親綱支柱・支柱用親綱・緊張器」の使用基準に従うことが重要です。
具体的には、「コーナーに使用する支柱には平行方向と直交方向の2本の支柱用親綱を同時に取り付けないこと」と定められています。
これは、安全性を確保するための重要なルールであり、必ず守るようにしましょう。
2.2 足場スタンション
足場スタンションは、足場の組み立て時に使用される重要な部材です。
ただし、現在主流のいわゆる『次世代足場(アルバトロスなど)』ではそもそも下段から手摺部材を先行して設置できるようになってきているので、足場組み立て解体時にスタンションを設置するケースは減ってきているのが現状です。
従来型の枠組足場などでは、まずスタンションを設置してから親綱を張って、安全帯を使用して足場の組み立てを行うために使われます。
2.3 トラックスタンション
トラックスタンションは、トラックから材料などを荷卸する際に、荷台から転落墜落する事故を防ぐために取り付けるスタンションの総称です。
車のタイヤでスタンション(ポール)のベース部分を踏んで固定するタイプや、桟橋の手摺などからパイプを立ち上げて親綱やワイヤーを設置するものなど、現場の状況に応じて様々なタイプが用いられます。
桟橋上、開口部の付近などのトラックから荷下ろしをする場合は、荷台までの高さだけではなくマイナス方向へ大きく墜落する危険性が高いため、特にトラックスタンションを利用して、作業員が墜落転落しないような措置をすることが重要です。
3. スタンションの取り付け手順と親綱で仮設の手すりを作る方法
スタンションは単独で使われるケースは少なく、通常は設置したスタンションに親綱などを張って墜落防止措置などを行います。
3.1 スタンションの取り付け手順
スタンションの取り付けは、開口部や手すりがなく容易に墜落できてしまう危険な場所に行われます。
スタンションの下部を開口部で取り付けられる部分を挟み込み、ボルトで締めることで設置します。
この作業は高所で行われるため、専門の鳶職人に依頼することが一般的です。
3.2 親綱で仮設の手すりを作る方法
スタンションを設置した後、次に行う作業が親綱の設置です。
親綱はスタンションに通して手すりを作るためのもので、その設置には一定のルールが存在します。
以下に、親綱設置の基本的なルールについて解説します。
【親綱の種類と選び方】
親綱には、被覆ワイヤーなどの金属製のものやロープ製のものなど、さまざまな種類があります。
選ぶ際には、作業の内容や現場の状況に応じて適切なものを選ぶ必要があります。
金属製の親綱は強度が高い反面、重くて取り扱いが難しい場合があります。
一方、ロープ製の親綱は軽くて取り扱いやすいですが、耐久性に劣る場合があります。
【親綱の設置位置】
親綱は、スタンションの上部に設置します。
設置する際には、親綱がスタンションの中心を通るようにすることが重要で、これは親綱がスタンションの中心を外れると、スタンションが倒れる原因となるからです。
【親綱の張り方】
親綱を設置する際には、適切な張り方が求められます。
親綱は、スタンション間で適度な張りを持つように設置する必要があり、張りが弱すぎると親綱がたるんで安全性が低下します。
逆に張りが強すぎると、親綱やスタンションに過度な負荷がかかり、破損の原因となる可能性があります。
以上が、スタンションにおける親綱設置の基本的なルールについての解説です。
これらのルールを守り、適切に親綱を設置することで、作業の安全性を確保することができます。
まとめ
スタンションは、工事現場での高所作業の安全を確保するための重要な機材です。
その使用方法や取り付け方、注意点などを理解し、適切に使用することで、作業の効率性と安全性を向上させることができます。
また、スタンションの使用には専門的な知識と技術が必要であり、適切な取り扱いが行われなければ、逆に事故の原因となる可能性もあります。
そのため、スタンションの取り扱いには十分な注意が必要です。
以上がスタンションについての詳細な解説と安全性についての考察です。
この記事を読んで、スタンションの重要性とその適切な使用方法について理解を深めることができれば幸いです。
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