鳶職と結婚したらダメなの?鳶職の妻がリアルをお話しします。

鳶職人との結婚を真剣に考えているのに、なぜか親や友人から反対されてしまった・・・というあなた。

「なぜ反対するのだろう」とネットで調べてみたら、あることないこと書かれている記事や知恵袋を読んで不安になってしまったのではないでしょうか。身近な人に反対された上に、ネットの情報を鵜呑みにしてしまったら、不安を煽られて、根拠もないのに疑心暗鬼になり、結果大事な人を失ってしまうかもしれません。

そんな私も、もちろん不安でした。でも結果、私は鳶職人である夫とと交際7年で結婚し、10年経った今もとても幸せに過ごしています。鳶職人との結婚を反対されたから別れました・・・なんて、そんな悲しい事態を防ぐべく、鳶職人の妻として、今までの経験も交えて徹底的にお話しします!この記事を読んであなたの不安がなくなれば嬉しいです。

1.鳶職人と結婚する前に私が不安だったこと

鳶職人の夫と結婚を考え始めた時は私も不安でした。まずはその「不安」についてお話しします。みなさんもきっと何か不安なことがあるからこの記事に目を止めてくれたのだと思います。そして、私が不安だったのはこの5つのことでした。

しかし、この不安はしっかり解消できたため、今では安心して結婚生活を送れています。それでは、どう解消したのかをお伝えします。

1.1 体が資本・・・万が一ケガをしたら?→福利厚生のしっかりした会社に転職すれば大丈夫!

鳶職の仕事は体が資本です。デスクワークであれば入院が必要なほどの大ケガをしない限り仕事に影響はあまりありませんが、鳶職人はケガをすると当たり前ですが影響が出てしまいます。夫のお給料は日給月給制で、当時所属していた会社はなんの補償も準備されていない状態だったので、万が一ケガをして休むことになったらその期間は無給になり、給料も減少するという不安がありました。

そこで結婚後、私は夫に、福利厚生や補償がしっかりしている会社への転職を提案し、日比建設に入社することに。今では安心して夫を仕事に送り出せるようになりました!

1.2歳を取ったら働けなくなる?→年齢に応じた働き方と会社からの評価を上げよう!

鳶職は体力的にハードなため、歳を取ったら働けなくなるのでは?という不安もありました。
鳶職人は身体能力が高い人・体力がずば抜けている人が多いですが、それでも一生バリバリに肉体労働をするのは難しいはず。いつまでこの働き方を続けられるんだろうと思っていました。

しかし年齢を重ねることは経験値が上がるということでもあり、今度は指導者として若手の職人さんの育成に携わる立場に変わっていきます。実際に夫の働き方もだんだんとシフトチェンジしています。その時その時に合った働き方ができますし、夫のように経験豊富で高い能力を持った職人であれば会社との信頼関係も築けるので、今では不安はありません。

1.3天気が崩れると仕事がなくなる?→天気は関係なし!

外仕事でしかも高所作業・・・天気が崩れたら仕事がなくなるのでは?と不安に思っていましたが、これは全く心配ありませんでした。この17年間天気が悪くて夫が仕事に行けなかったことはほとんどありません、というかなかったようなに思います。むしろ台風や大雪の予報になると現場に影響が出ないかを見張るため泊まり込みになったりということは何度かありました。

ただ一昔前は、建設業界も景気が良く現場も有り余っていたため、「雨が一粒でも降って来たら帰る」ということはあったそうです。

1.4最終学歴が中卒や高校中退でも不安はない→学歴に阻まれることはない!

鳶職に就いている人は中卒や高校中退が多く、将来的に不安じゃない?と周囲に言われたことがありました。

私自身は学歴にあまり興味がなく、それで人間性が決まるものではないと思っていましたが、現実問題として、もしも転職をするとなったら学歴の壁にぶち当たるのではないかという不安はありました。しかし実際は日比建設への転職の際も問題ありませんでしたし、普段の生活においても支障はありません。

1.5住宅ローン審査や車のローンを組む時に影響がある?→職種ではなく雇用形態が重要!

鳶職人は危険職種なので、住宅ローンの審査や車のローンを組む時に制限があったり、審査通過が難しいのでは?と不安に思ったこともありました。実際は「鳶職だから」ということは全く関係ありません。

ただし住宅ローンの場合は、「鳶職だから」ということではなく「一人親方」の場合は、揃える書類や事前準備が煩雑で、夫の場合も一度断念したとこがあります。その後、日比建設に入社し、会社員としてローンを申し込むことで無事通過しています。職種というより、雇用形態の方が重要です。

2. 鳶職人と結婚した私は幸せになれました!

結論、鳶職人と結婚した私はめちゃくちゃ幸せです。
正直、ネットの情報を見て腹が立ちました。どこの誰かもわからない人たちが好き勝手、偏見だけで書き込みをしているんですよね。私は鳶職人の夫を17年、近くで見てきたので『鳶職人のイメージ=夫そのもの』です。

そのため、鳶職人は最高にかっこよくて、優しく、家族や仲間を大事にするというのが私の印象です。結婚相手に相応しくないと思ったことも一度もないんです。むしろ結婚したい相手の職業No.1になってもおかしくないと思っています。その理由を最初にお伝えします!

2.1鳶職人ってかっこいい!

世間の評価はまだまだ誤解だらけですが、鳶職人って単純にかっこいいと思っています。地上数十メートル、時には200メートル以上の現場で鉄骨を組み、強風に煽られながら、雨に打たれながら仕事をするなんて、スーパーヒーローみたい!と。私だったら足がすくんで何もできないと思います。

妻として夫が鳶職人だということを誇りに思っています。

2.2仕事に対しての姿勢が尊敬できる!

鳶職人の仕事に対する姿勢は本当に尊敬できます。夫はもちろん、私の知っている鳶職人さんからはとても強い責任感とプライドを感じます。病気になったりケガをしたりして現場を離れるなんてことはあってはいけないという思いが強いので、自己管理もしっかりして、冬場はまだ薄暗い、早朝4〜5時台に出勤する鳶職人のみなさんには頭が上がりません。

2.3見た目が若々しく、自慢できる!

鳶職人は見た目が若い人が多いです!ほとんどの方が実年齢より若く見える印象があります。私の夫もとても若く見えます。もちろん周りの方からも実年齢より若く見られますし、ママ友や保育園の先生に「パパかっこいいですね!」と言われることも!そのため私は夫のことを『奇跡の40代』と言っています。そしてあと少しで『奇跡の50代』へ突入です。

2.4体力は抜群!子供と全力で遊んでくれる!

普段仕事で鍛えているおかげで体力は抜群です!我が家の子供は体力の有り余った小学生3人+暴れん坊2歳児なのですが、夫は仕事後でも全力で遊んでくれます。力技はなかなか女性の私ではキツいので助かります。
子供のサッカーチームの行事で親子サッカーをした時は、若いお父さんもたくさんいる中、一番動けていてコーチ陣からスカウトされていました。

2.5形の残る仕事。デートスポットは夫の作品⁉︎

鳶職人のいいところは、仕事が形に残り、目にみえるところだと思います。結婚前はよく、夫が携わったショッピングモールやレジャー施設に連れて行ってもらいました。ドライブをしていても、窓の外を指差し「あのビルは俺が建てた!」(このフレーズ鳶職人さんよく使いますよね)と教えてくれることが何度もあります。その度にあんな高い建物を作るなんてすごいなぁと感心します。

3.鳶職人と結婚して大変だったこと・苦労したこと

とはいえ、やっぱり苦労もありました。もちろん結婚をすれば相手が誰であろうと大変なことはたくさんにありますが、鳶職人と結婚したからこその苦労や大変だったエピソードをお話しします。

3.1休みが日曜日だけ・・・週休1日

鳶職人は基本的に週休1日・日曜日だけで、祝日も関係ないことが多いです。そのため土曜日は1日中子供たちを1人でみなければいけません。また、運動会や授業参観といった子供の行事は土曜日に行われることが多く、パパは仕事で不在、私が1人で参加するということがほとんどでした。

3.2朝が早い

とにかく出勤時間が早いです。4時〜5時台がほとんど、遅くても6時台です。一時期はお弁当を作っていましたが私も仕事をしている長くは続きませんでした・・・朝の子供達の身支度や保育園の送迎ももちろんできないので、保育園の送迎をパパがしているご家庭を見ると本当に羨ましかったです。

3.3突発的な休みが取れない

鳶職の仕事はは工程が組まれていて納期もあるため、個人の事情で突発的な休みを取るのが難しいです。我が家は共働きで、私も15年以上会社員をしてきました。子供が小さいと急な発熱で保育園から呼び出しの電話がかかって来ることは頻繁にありました。翌日も休ませることになり、そんな時は99.9%私が仕事を休んでいました。その度にアポイントのあったお客様へ電話をして予定変更をして頂いていました。心苦しいことは度々ありました。

3.4長期休暇がある月は給料が減ってしまう

年末年始やお盆休みといった長期休暇があると、その分の日当はないのでお給料は減ってしまいます。
普段お仕事を頑張っている夫には、そんな時くらい長く、ゆっくりお休みを取って欲しいという気持ちの方が強いですが、お給料面を考えると、今月は少ないんだな・・・備えておかないと・・・という複雑な心境にはなってしまいます。

3.5ケガで働けなくなる

ケガをして働けなくなったこともありました。一緒にいるこの17年の間に、大きなケガは2回ありました。
どちらも骨折で、2回目の骨折は入院・手術をし、3週間程度現場に出られませんでした。しかし、傷病手当金や保険の給付があったので収入面では大きな減少がなかったのが不幸中の幸いでした。

4.考えたくはないが万一の備えもしておく

絶対にあってはならないですし、考えたくはないですが、万が一大きなケガをしたり働けなくなってしまった時の備えをしておくことは大切です。国や自治体からはどんな給付やサービスが受けられるのか、また個人ではどんな準備をしておけばいいのかをお伝えします。

4.1 働けなくなった時に国や自治体から受けられる保障

万が一働けなくなってしまったり、ケガや病気を原因に介護状態となった場合は国から保障が受けられます。
内容は大きく分けてこの4つです。それぞれ給付要件や給付内容が違いますのでそれぞれ見ていきましょう。

障害年金

最も身近なものは障害年金です。ケガや病気を原因として仕事ができない状態になってしまった場合、給付されます。支払われる金額は配偶者の有無・子の人数・子の年齢によって変わります。また障害年金には1級〜3級があり、1級が最も重いです。給付要件や給付金額は下の表を参考にして下さい。

 

介護保険

次に公的介護保険です。介護というと一般的に高齢になってからのものというイメージがありますが、満40歳から加入が義務付けられており、給付要件を満たした場合は給付を受けられます。しかし、障害年金と違い、原則現物給付となっています。詳しくは下の表を参考にして下さい。

 

障害福祉サービス

こちらは障害者総合支援法のもとにできたサービスです。受けられる給付やサービスは自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの市区町村のホームページ等でご確認下さい。

4.2公的な保障だけでは足りない。自助努力を

ここまで、国や自治体の保障を見てきましたが、お分かりの通り、十分ではありません。万一の時、これだけを当てにしていたら、生活ができなくなってしまいますので、必ず自助努力が必要です。

その方法として最も分かりやすいのは、やはり生命保険です。一般的に加入している死亡保障や医療保障に加えて就労(就業)不能保険をセットして加入することをお勧めします。(我が家も加入しています)ケガや病気を原因に働けなくなってしまった時に給与保障として年金が受け取れるといった内容です。家族構成(未婚or既婚・子供の人数等)によって準備すべき保障額は違うので加入している保険の担当者やライフプランナーに相談してみましょう。

4.3勤務している会社の福利厚生・補償

もしも就労に支障が出るようなケガや病気になってしまった場合、福利厚生が整備されている会社であれば勤務している会社からも補償が受けられます。
まず、最初に有給休暇を消化し、その後は傷病手当金が支払われます。傷病手当金は現在の収入の2/3程度の金額が最長1年6ヶ月支払われます。また勤務中のケガであれば、労災のほかに業務災害保険が支払われます。(任意加入なので会社が加入している場合のみ)

最後に

いかがでしたか?この記事を読んで、悩みや不安が解消されたでしょうか。確かに鳶職人はまだ偏見をもたれやすい職業だと思いますし、周りからの反対も気になると思います。でも一番大事なのはその人の人柄や仕事に対する姿勢ではないでしょうか。

私は、夫と結婚して本当によかったと思っていますし、後悔もしていません。私のように「夫は鳶職人です!」と胸を張って言える人が一人でも多くなることを願っています。

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