足場鳶とは?具体的な仕事内容や他の鳶職のとの違いを解説

足場鳶ってどんな仕事なの」
「自分は足場鳶に向いているのだろうか」

このようにお悩みなのではないでしょうか。
足場鳶は建築現場で足場の設置や解体をすることが主な仕事内容です。
例えばこのような現場の足場を設置したりします。

高い建物の建築現場では作業をする時に必ず足場が必要となり、足場鳶が足場を設置して初めて作業を進めることが出来ます。

そのため、足場鳶は建設現場の工期を左右する、とても重要な役割を果たしているのです。

そんな足場鳶の仕事にあなたは少しでも興味を持っているのだと思います。

そこで今回は

  • 足場鳶の具体的な仕事の流れ
  • その他の鳶職との違い
  • 足場鳶に向いている人
  • 足場鳶に向いていない人

などを徹底解説します。

1.足場鳶とは?

足場鳶とは、建設現場に欠かせない足場の組み立てと解体を専門に行う鳶職人のことです。

足場は建設工事に欠かせない仮設構築物で、その良し悪しで現場全体の安全や工期にまで影響が出ることもあり、図面通りに組む正確さと技術力、スピードが求められます。

1.1 建設現場で足場の組立や解体をする職人の事

足場鳶の主な仕事は建設現場での足場の計画と組み立て解体です。

建物の形状、高さによって組み立てる足場は変わってくる為、安全かつ足場を使用する他職種の作業員が作業しやすい効率的な足場の構造を考えます。

また、足場の組立ては基本的に野外で行う事が多い為、その日の天候条件等も考慮しながら安全性を確保するための補強や固定方法も計画します。

単に足場の計画や組立て解体を行うのではなく、作業員の安全面や作業効率を考えての作業となる為、建設現場の中でも責任のあるとても重要な仕事です。

1.2 現場の作業を円滑に進めるために重要な存在

足場鳶は工事現場の作業を円滑に進めるためにとても重要な存在です。

足場の組み立て解体は一般住宅の新築時や外壁塗り替え時、高層ビルや大型施設の建設時や改修時など、ほとんど全ての工事現場で必要となります。

一般的に足場は鳶職が施工し、完成した足場は他の職種(躯体業者さん、仕上げ業者さん、設備業者さんなどほぼ全ての職種)の方達が使用するため、それぞれの用途に合い、作業が安全に進められるよう配慮されたものである必要があります。

ほとんど全ての業者さんが鳶職が組み立てた足場を使用するため、建設現場において特に重要な存在だと言えます。

1.3 他の鳶職との違い

足場鳶はその名の通り、『足場の組み立て解体』に特化して作業を行う鳶職人で『足場屋さん』などとも呼ばれます。

鳶職には足場鳶以外にも

  • 鉄骨鳶
  • 重量鳶
  • 橋梁鳶

などいくつかの種類がありますが、上記3つの鳶職であってもそれぞれ足場の組み立ては行うことが多いので、足場鳶=足場専門(足場屋さん)という認識を持っていただければOKです。

例えば鉄骨鳶であれば、工事に付随する足場を組み立てたり解体することはありますが、その逆(足場鳶が鉄骨を建てること)は基本的にありません。

2.足場鳶の仕事の流れはこの3ステップ

足場鳶の仕事は足場の計画・組立・解体が基本的な流れとなります。
それぞれについて詳しく解説していきたいと思います。

2.1 まずは足場の計画を行う

足場鳶の最初の仕事はまず建築物や構造物に適切な足場を組み立てる為に足場の計画を行うことから始まります。

どのような足場を組むのが実際に足場を使う他職の作業員の方達にとってベストなのか、建築基準や安全規制、作業内容や場所に応じて最適な足場というのは変わってくる為、建物の形状や構造を考えながら入念に打ち合わせを行います。

また、足場は野外に組み立てる事が多い為風や天候も考慮しながら、安全性を確保する為の補強や固定方法も計画します。

組み立てる足場が決まったら、その足場に必要な材料の数を拾い出し、搬入の計画を立てます。

この計画次第でその後の作業のしやすさが大きく変わるため、計画は職長や作業主任者などのベテランが行うことが多いです。

2.2 安全性を確認しながら足場を組み立てる

計画が完成したら図面を見ながら足場を組み立てていきます。

足場は1段目と2段目以降でその難易度が大きく変わるのも特徴です(例外あり)

1段目は図面を見ながら配置をして、高さ(レベル)や通り(真っ直ぐ)揃える必要があるため、比較的難易度が高いです。

1段目をキレイに組み立てることができれば、2段目より上は基本的には単純に足し上げていく作業になるので、熟練度の低い職人であっても対応しやすいです。

また経験の浅い見習い期間の鳶職人などは、組立解体の補助作業(材料運びやシート張りなど)から始めます。

補助作業中に材料の名前、材料がどのように使われるのかを学び、慣れてきたら今度は中間作業(材料の受け渡し、荷揚げ中継)を行います。

そうして材料の名前や用途(使い方)を覚え、足場の組み方を理解できるようになってはじめて1人前の足場鳶職人と言えます。

足場を組み立てる際は扱う材料が多く、作業エリアも広くなることが多いため作業は1人ではなく複数人のチームで行います。

その為、作業中に怪我や事故等が起きないよう日頃のコミュニケーションやチームワークがとても重要となります。

2.3 組み立てた足場を解体する

建物の仕上げが終わり足場が不要になると足場の解体を行います。

解体の際に気をつけるべき事は完成したばかりの建物に傷や汚れを付けない事です。

その為、組み立ての時以上により慎重な作業が求められます。

解体が終わったら、荷崩れしないよう丁寧に材料をトラックに積み材料を搬出します。

以上の3ステップを何度も現場で経験を積み、1人前の足場鳶職人として活躍すると今度は現場を指揮する「作業主任者」というポジションに就く事が出来ます。

作業主任者になると、自分自身はそれほど組み立て解体自体を行わず(足場の規模にもよります)全体を指揮する役割になります。

ステップ1の足場の計画も担当する事になるため、非常に重要で難しいポジションではありますが、それと同時にとてもやりがいのある仕事内容でもあるので、足場鳶として働く際はまずこの「作業主任者」というポジションを目指してみてはいかがでしょうか?

3.足場鳶を目指すにはどうしたら良い?

足場鳶は建設現場で安全な作業環境を確保するために必要不可欠な存在です。
もし足場鳶として今後活躍されたいのであれば下記の方法をオススメします。

3.1 足場工事に特化した会社に入社する

足場鳶を目指すためにまず大切な事は足場工事に特化した会社で働く事です。

鳶職にも色々種類があるため、足場鳶を目指しているのにも関わらず、足場の組み立て、解体に中々携われない会社で働いているようでは足場鳶職人としての成長が遅れてしまいます。

建設現場は全く同じ建物(同じ場所に同じ建物)がないため、足場も同じものは2度とないと言えます。

よって、足場の組み立て解体は毎回違う条件になるため経験がものをいう側面も多いです。

足場鳶を目指すのであれば足場に特化した会社で働く事が自身の成長に繋がります。

3.2 足場鳶に必要な資格を取得する

足場鳶として今後活躍していきたいのであれば資格の取得も必要となります。

足場の組み立て解体を行う際にまず必要な資格は『足場の組み立て解体等特別教育』になります。

この資格は足場に関する事故の多発を受け、平成27年7月より新たに設けられた特別教育で、足場の組み立て解体に関わる者は全て受講する必要がありますのでまずはこちらを受講しましょう。

次に目指すべき資格は「足場の組立て等作業主任者」です。

「足場の組立て等作業主任者」は労働安全衛生法に定められた国家資格です。

専門の技能講習を修了し、学科試験に合格すると高さ5m以上の足場の組立て、解体の作業は勿論、指揮監督者としても活躍する事ができます。

受講資格として実務経験3年以上という規定があるため、足場鳶になってすぐに受講することはできませんが、経験年数を積んだ後に積極的に取得したい資格です。

4.足場鳶に向いている人はこんな人

どんな仕事でもその仕事が自分に合っている、合っていない(向き不向き)があると思います。

では足場鳶として活躍されている人はどういった方なのか?

足場鳶に向いている人の特徴についてまとめていきたいと思います。

4.1 若いうちからやった分だけ稼ぎたい人

足場鳶は他の鳶職(鉄骨鳶など)と比べると技術を習得する難易度が比較的低いため、早い段階で一人前の足場職人として活躍することが可能です。

同様の理由かから責任者(作業主任者・職長・親方など)にも比較的若いうちになれることが多いため、若くして高めの給料をもらうことが可能です。

会社によっては歩合制(出来高精算や請負形態など)でやった分だけ稼げる給与形態をとっているところもあるため、若いうちに稼ぎたい人にとっては魅力的な職業といえます。

4.2 将来独立を考えている人

前の章で触れた通り、比較的短期間で技術を身に付けやすいというのが足場職人の特徴ですが、これは将来的に独立を考えた時にも大きなメリットになります。

  • 自分自身が若いうちに独立しやすい
  • 未経験者を採用しても短期間で戦力化できる
  • 新築・改修、建物の規模の大小など需要が旺盛

などがその理由となります。

いずれは鳶職人として独立を考えているという人にとっては足場鳶はおすすめです。

5.足場鳶に向いていない人の特徴

先程の4章では足場鳶に向いている人の特徴をお伝えしましたが、今度は逆に向いていない人の特徴をいくつかご紹介していきたいと思います。

5.1 高所が苦手な人

そもそも高い所が苦手な人(高所恐怖症)は足場鳶に向いていないでしょう。

僕自身もそうだったのですが、高所恐怖症ってそう簡単に克服できるものでもありません、、、

足場の組立解体作業は基本高い所での作業の為、高所での作業に強い不安感や恐怖心があると仕事に集中することすら困難になります。

高所での作業で集中力が薄れてしまうと大きな事故につながりかねません。

一緒に仕事をする職人さん達を大きな事故に巻き込まない為にも、ある程度自分の限界を把握しておくこともとても重要なことです。

5.2 飽きやすい(単調な作業が苦手な人)

当たり前ですが、足場鳶の仕事は『毎日足場を組み立てたり解体する事』です。

全く同じ建物というのは基本的には無いため、組み立てる足場も当然毎回違うのですが、それでも足場の組み立て解体作業自体、特に2段目から上の組み立てや解体に関してはどちらかというと体力勝負の比較的単調(単純)な作業なので、単調な作業が苦手ない人には向いていないと思います(現に僕自身も毎日足場の作業が続くと正直飽きていました)

その点、日比建設に在籍する鳶職のように

  • 鉄骨建て方
  • タワークレーンや工事用エレベーターの組立、クライミング、解体
  • 足場の組立解体
  • 安全設備整備など

をマルチにこなす鳶職人であれば、延々に同じ仕事をするようなことが無いので僕みたいな飽き性の人間にも向いています(逆にいえば、覚える仕事が多いため一人前になるのは足場鳶より大変です)

『毎日同じような仕事だと飽きてしまうかも』と自覚のある人は、足場屋さんではなく日比建設のような会社に就職するのがオススメかもしれません。

5.3 定時で仕事を終えたい人

決まった時間に仕事を終えたい人にも足場鳶はあまりおすすめできません。

その理由としては建設現場には時間の制約があり、工期の遅れは許されません。

その為、足場の組立解体のスケジュールも計画によって短期間に詰め込まれる事があります。

さらに作業途中での予期せぬ変更や追加作業が発生する場合もある為、足場鳶は他の職人の方達と比べると定時に上がれず残業する事も多いようです。

5.4 作った物を形に残したい人

足場は仮設構造物なので、建物が完成すると跡形もなく撤去されてしまいます。

鉄骨も最終的には仕上げ材で覆われるため、目に見える部分は意匠的に残す一部分だけのことが多いですが、それでも建物の骨組みとしては存在し続けるため、自分たちの作品が形として残るという実感は得られます。

よく鳶職人(特に鉄骨をやった人)が『あの建物俺たちが鉄骨建てたんだよなぁ』などと言いますが、足場鳶さんにはあまり持ち辛い感情かもしれません。

足場は建設現場になくてならないものですが、形として残らない切なさがあります。

まとめ

足場鳶は建設現場の作業を安全かつ円滑に進める上でとても重要な存在です。

戸建て住宅、マンション等の建設工事では常に足場が必要となります。

新築工事以外にも建物は定期的にメンテナンスや再塗装を行ない、その際にも足場は必要となる為、他の鳶職と比べても足場鳶はかなり需要が高い職業です。

仕事量は多くある一方で建設業界は高齢化などの影響もあり、足場鳶の世界も慢性的に職人不足に悩まされています。

そのため、若手は非常に重要な存在です。

今から足場鳶として経験を積み、技術を上げていけば、若くして足場鳶の世界で活躍する事も充分に可能です。

この記事を読んで1人でも多く足場鳶職人が増え、建設業界全体が盛り上がってくれると嬉しいです。

 

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