重量鳶がつらい・きついと言われる4つの理由を現役鳶職人が解説

つらいと言われる重量ってどんな世界?
そんな疑問に応えるべく、現役の重量鳶のリアルな現状を徹底的に調べて皆様にお届けしたいと思います。
この記事を読んで重量鳶の世界を少しでも実感して貰えれば幸いです。

1. 現役の重量鳶が語るツラい事5選

始めに現役の重量鳶に聞いた現場の生の声を紹介します。

1-1圧倒的ツラい作業環境

はじめに、一口に辛い作業環境と言っても色々ある中で、ダントツで意見が多いのが外的要因である『暑さと寒さ』です。

重量鳶はその仕事の性質上、圧倒的に鉄と接する機会が多い為、夏場に於いてはただでさえ暑いのに真夏の日差しにより80℃近くまで熱せられた鉄を相手に仕事をしなくてはなりません。

また冬場に於いては氷点下の中、地上20mの高さで強風に晒されながら、手足の感覚が麻痺してくる中での作業になるなど、文字通り心が折れそうな過酷を極める環境下での作業になることもある様です。

1-2最重要!人間関係の構築

どの職業に於いても人間関係の構築は大切ですが、重量鳶の世界ではチームで長期間仕事をする事が多い為人間関係の重要性のウエイトは自然と高まってくるようです。

やはり何トンもの鉄の塊を扱う為に危険と常に隣り合わせという環境下での作業が多い為、自然とピリついた雰囲気になり、先輩から怒声を浴びせられる事もある様です。

こうした時にその先輩と普段からしっかりとした信頼関係が築けていれば、何故先輩から怒声を浴びせられたか理解出来るといいます。

その信頼関係が築けていないと、大概の人は辛いと感じ自分には向いてないと思い込み辞めていくといいます。

1-3胃に穴が開く!?プレッシャー

先程述べたようにその圧倒的危険作業に従事しなければならない重量鳶の特異性から、仕事を進めていく上でのそれぞれのプレッシャーたるや相当なものがあるようで、現場を任されている立場の職長は、作業員の安全と会社の利益の狭間での悩みが絶えないといいます。

また実際に取り付け工事を行う立場の作業員も、時には上空50mの高さでの鉄骨取り付け工事を行う際など、自分が落ちない事は元よりボルト一本下に落とす事が出来ないのです。

このプレッシャー足るや尋常では無い事は想像しただけで胃に穴が開く思いになりますよね。

1-4マンネリ化!

重量鳶の世界では、大きな現場になると2年から3年同じ現場で同じ仕事の繰り返しなどという状況があるようで、そうなってくると本音の部分では飽きてきて嫌気がさしてくるのが実状のようです。

1-5出張って実は嫌!?

重量鳶の世界では出張は勿論会社によって違いがあるものの頻繁にあることが多く、一度出張に出ると3ヶ月から人によっては半年に1度しか家に帰れない事もざらにある様です。

さらに、その出張先が山奥だったりすると最悪で、夜は真っ暗で近くに小さな居酒屋でも有れば御の字で、それすら無いほどの場所で3ヶ月も生活と仕事を共にしていると普段なら気にもならない事が、許せない事に変わってきてしまうと言います。

それが原因で人間関係までギクシャクしてしまうとの事なので、人によっては出張となると憂鬱になるケースがあるようです。

2.重量鳶のやりがい3選

つらいとされる重量鳶ですが、辛さを上回るやりがいがあるからこそ仕事を続けることができます。
そこで現役の重量鳶に聞いたやりがいを3つ紹介します。

2−1無事故無災害で工程通りに現場を終わらせた時の達成感!

職人たる者そのプロ意識は相当高くあるようで、様々な困難を乗り越えて無事故無災害で工程通りに現場を去る事が1番の目標であり、それが彼ら職人としての評価に直結するのだと言います。

2-2スキルを駆使して重量物を収める楽しさ!

重量鳶の仕事は単に何トンもの鉄の塊を取り付けていくと言うものではなく、まずはどの様に運搬し、どの様に吊り上げて、どの様に取り付けるかを事前に計画を立ててから、それを作業員全員に周知してから作業を開始するのですが、実際取り付けるとなると往々にして計画通りに行かない事が多々あるようで、そのような時に取り付け作業員の知識と経験が試されるのだと言います。

どんな不測の事態に遭遇しても、冷静に考えてその状況下での最善手を選択して事態を収める時は、時間を忘れてしまうほど集中してしまうと言います。

2-3チームで動いて1つの目標を成し遂げる充実感!

どんな仕事であっても、多かれ少なかれ他者との協力無しには成り立たないものだと思いますが、重量鳶に於いてはチームのメンバーどうしの信頼関係がとても重要視されます。

やはり一つ一つの作業が危険作業になってくるので『アイツなら大丈夫だ』という信頼関係の元に仕事が進んでいきます。

時には仕事の進め方などの事でぶつかる事もありますが、そんな時こそ信頼関係が試される時だと言います。

相手のことを信頼して認めているから話し合えるし納得も出来るものだと言います。

そうして工期の最後を無事に迎えられた時の充実感は、例えるなら卒業式を迎えるような感じなのだと言っていました。

3.重量鳶に向いてる人3選

ここではこれから重量鳶を始めようとしているに向けて、実際に現場で活躍する職人さんの生の声をお届けしたいと思います。

3-1身体を動かす事が好きで、運動神経に自信がある人

やはり高所での厳しい環境下で危険作業を行う事がメインになってくるので、身体が資本になる為何かスポーツをやっていたり身体を動かす事に自信のある人の方が、怪我や事故のリスクが少ない傾向にあるようで重量鳶の仕事に向いているようです。

3-2負けず嫌いな人

実力主義の重量鳶の世界に於いて、この負けず嫌いの精神は必要不可欠な要素と言えます。

極端な事を言えば24歳の仕事の出来る人が50歳のベテランの人を使いこなすなんて事も当たり前にある世界なのです。

常に他人に仕事で負けたく無いという姿勢で仕事に望む事が求められるので、元からの負けず嫌いの人は向いていると言えるわけです。

3-3想像力が豊かな人

特定の空間に様々な知恵と工夫を用いて、何トンもの重量物を移動させて迅速かつ安全に所定の場所に収める事が求められる仕事となるので、こうなったら危険だなとか、こうしたらもっと上手くいくんじゃないか等、想像力を存分に活用できる仕事なので、想像力豊かな人は重量鳶に向いてると言えるでしょう。

4.鳶職には多種多様な働き方がある

ここでは、鳶の中にも色々なスタイルの働き方があるので、簡単にご紹介出来ればと思います。

4-1足場専門の足場鳶

足場鳶とは、新築工事改修工事どちらも足場を組み立てる事を専門に仕事をしている鳶の事で、新築工事においては主に一戸建て住宅が多く、規模が小さい為一日に何ヶ所も周る為拘束時間も比較的長く数を沢山こなす事で、高収入をえらる仕組みになっています。

また改修工事の足場の場合もひたすら足場を組み立てるか解体をするこの繰り返しで、若いうちはこなせるが歳とともに体力的にキツくなってくるのが現状です。

4-2鉄骨専門の重量鳶

先にも述べたように、重量鳶は重量物を扱うスペシャリストなので玉掛け作業(重機を用いて重量物を吊る作業)を駆使して鉄骨を建てていく事がメインの仕事となります。また重量鳶は溶接と言って建てた鉄骨の接合部分を繋ぐ作業も有ります。これが他の鳶と大きく違う点になります。

4-3新築の現場で最初から最後まで携わる総合鳶

はじめに総合鳶と言うのは、筆者の造語で読者の方にイメージしやすい様にあえてこの呼称で語らせて頂きます。

総合鳶は建設現場においてまだ建物が建つ前の更地の状態の時に乗り込み、仮囲いと言って現場の敷地の周りに囲いを作ります。

その後建物の基礎を作る為に他業者が地面を掘り始めると掘った穴に人が落ちない様に安全設備として手摺りを設けたり、作業員が現場の中を安全に歩ける様に安全通路を設置したりします。

その後基礎が出来上がり地上の躯体が始まります。

ここから先は工法によって変わりますがS造と言う工法では鉄骨がメインとなり、またRC造と言う工法の場合は、足場を組み立てる事がメインとなってきます。

またSRC造と言う鉄骨と足場が両方メインとなる事もあります。

5.私が勧める総合鳶の世界

この章では私がお勧めする総合鳶の世界について詳しくご紹介していきたいと思います。

まず先にも述べた通り総合鳶の1番の特徴は、現場の始まりから終わりまで常駐する唯一の職種と言っても過言では無いと思います。

更に多職との絡みも1番多い職種でもあるのです。

つまり鳶だけの仕事を覚えれば良いと言うわけではなく全ての職種の仕事を理解する必要があります。

この様に様々な知識と専門的な技術これを習得して初めて一人前と呼べるのです。

つまり総合鳶で一人前と言われる様になれば、建設業界においては、大抵の職種に転職してもある程度通用することが出来るのです。

以上簡単ではありますが、私が推める総合鳶の世界でした。

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